さらにまた映画の話。

いわゆる芸能人、女優・タレントさんに心奪われることが今の今まで皆無であった、と、昨日書きました。
しかしこれは大きな間違いで、大いに心奪われた方がひとりおられました。


「酔いどれ天使」「静かなる決闘」「野良犬」に出演された、千石規子さん。
いや、惚れましたね。普通に惚れたです。
TVのトーク番組などでの扱われ方を見ると、非常にハラたちます。偉大な功績を残した先人に対する尊敬とか畏怖の意識ってのが無い。無さ過ぎる。TVというのはそういうもの・TV制作者というのはそういうヤカラである、と、わかってはいるものの、非常な憤りを覚えます。
黒澤作品の、特に初期には、若かりし香川京子さんや、桂木洋子、久我美子さんと、そうそうたる美人女優さんが多く出ておられますが、千石さんは必ずしも「美人役」ではなかったものの、私的には一番魅力的でした。
さて昨日の続きですが、小津監督作品では、サエないオトコの方が輝いてる。
もしくは、サエない設定や、スタイルをさせられてても、当時のスターたちは輝けた、ともいえます。
佐田啓二(中井貴一、貴恵さんのお父さん)は、当時すでに「君の名は」などによる押しも押されもしない「映画スター」であり、確かに息子よりも数十倍は美男子なわけですが、小津作品ではステテコ(?)などはいて、岡田茉莉子の尻にしかれておられます。無断でゴルフクラブ買ってイヤミ言われたりしてます。
また時には、リストラで失業し、子供etc相手に英語教えたりして細々暮らしてる、いわばニートだったりもします。
でも、カッコいい。フシギだ。
池部良氏も、浮気して奥さんに逃げられるサラリーマンという、あまりにもサエない役どころでしたが、それでも非常にカッコよかった。
小津といえば、江東区は某所に「ひげの平山」なる飲み屋があります。北龍二みたいなオヤジが集う店なのでしょうか。っていうか店主は小津崇拝者なんだろうか?
小津は、現在の東京江東区は深川1丁目で生まれ、しばらくこの地で育ちました。
このあたりはワタシのまごうかたなく地元、目をつぶってもあるけるくらい御馴染みの界隈です。
小津の「日記」を見ますと、いわゆるチンチン電車に乗って、このあたりから永代橋を越え、当時蒲田にあった松竹の撮影所まで通った、という記述があります。
小津が鎌倉あたりに出て行った後、チンチン電車はやがてバス化されることになるわけですが、このあたりの日記を読むと、このチンチン電車路線はおそらく現在の東22番系統ですね。このバスはワタシがまだ車の免許を持たなかった磁器、東京駅そばの八重洲ブックセンターに通うのに使っていた路線です。

コメントする