マニー“パックマン”パッキャオに大いに驚く。

3回連続でボクシングネタになる。西岡の試合があまりにも素晴らしかったので、特段の脈絡も無くマニー“パックマン”パッキャオの試合をいくつか観る。
いやはや、驚きでした。こんなボクサーがいままでいただろうか。ライトフライ級からキャリアスタートして、なんかオスカー・デ・ラ・ホーヤにまで勝ってしまっている。
昔観たときと違ってデ・ラ・ホーヤは明らかにコンディショニングに問題があるようだったが、この際そんなことは問題にならない。なにしろこの体格差である。本来ならコンディションがどうとかいうレベルでは無く、デ・ラ・ホーヤが一方的に打ち負かして当たり前な試合のはず。それが、サンドバッグに成り果ててしまったのはデ・ラ・ホーヤの方であった。


デ・ラ・ホーヤ戦に続いて観たのは、ラスベガスで行われた「スーパーライト級(ライトウェルター級)現役最強」と評価される英国の国民的英雄、リッキー・ハットンとの一戦。
タフで鳴るハットンを、クドいようだがライトフライ級上がりのパッキャオがサンドバッグにしたばかりか、あろうことか2R、左フック一発で失神KOしてしまった。
こんなことはありえない、非常識といって差し支えない「事態」である。ムチャクチャな例えかもしれないが、ある意味では具志堅用高が増量してアーロン・プライヤーを2Rで失神させちゃうようなものである(さすがに言いすぎかね)。
WOWOWゲスト解説の香川照之氏が“神が介在しています”とコメントしていたが、これは決して大げさなコメントでは無く、取り急ぎこの2戦のパックマンには「人にあらざるもの」が憑依していたように思える。リッキー・ハットンを失神させた左フックは、これ以上無いくらいの「サウスポーが打つインサイド左フックの見本」であったし、1Rにダウンを取ったパンチは、完璧にハットンのリズムを見切った上で放たれた、ある意味計算づくの一発であった。
どちらも、なによりその美しさにおいて、正に「人にあらざるもの」の為せる技であった。
当サイト管理人は、幾度かのブランクはあったものの、ボクシング競技を観るようになって20年以上になる。
その間、例えばシュガー・レイ・レナード、トーマス“ヒットマン”ハーンズ、ロベルト・デュラン、マイク・タイソン、などなど、実に美しく、またもちろん強いボクサーがいた。
しかしながら彼らも、少なくともこの2戦のパッキャオにはやや劣る。
年代の差・・・彼らの活躍時期から現在までの間に積まれ、発達してきた競技としてのスキルを踏まえれば、技術面でパッキャオが勝るのは必然であるが、そんなことよりなによりも、まずパッキャオは彼らに美しさで勝る。
リカルド・ロペスと同時代同階級だったら、どっちが勝ってただろうか。
デ・ラ・ホーヤは全盛期真っ只中ではなかったし、ハットンもパッキャオ戦の2試合前にKO負けしている。
そういう部分において、パッキャオに有利な状況が無かったとは完全には言い切れない。これもまた事実ではある。我ながらどんだけ要求レベルが高いんだよ!と思うが。
まぁそんなわけなので、次戦に大いに期待したいと思う。誰が来てもちょっと問題にならないとは思うけども。

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