「話題の映画」について(暴論且つ長文)。

今年の日本アカデミー賞は「告白」が作品賞でした。「告白」は観てませんが概ね好評なようですね。これだけ好評なんだからそれなりに面白い・楽しめる作品なんだろうと思います・思えます。

しかし・・・いきなり話は「告白」から離れますが・・・特にここ数年、この「好評」や「人気」、「評判」というヤツに思いっきり裏切られるケースが非常に多いのも事実です。

“これだけ話題になってるんだから、それなりに面白いんだろうな”ということで少々でも期待して観に行くと、それが強烈に裏切られることがやたら多い。多いどころか、オレ的にはほぼ100%です。

オレはこの30年近くでもう1000本は観てますが、これほど裏切られ続けたことは過去にありません。

年がら年中見てるんで、そりゃタマにはダメ映画に当たることもありましたが、これだけの「話題作」で、しかもこれほど続けて、ってのは記憶にありません。

これは一体どうしたことか・・・というわけで、オレはもはや、特に邦画に対してある種のトラウマさえあります。

オレが映画を観始めたのは’80年代の頭。当時からいわゆる「鳴り物入り」の映画作品は数多有りました。

興行成績が話題になってるもの、広報・宣伝がスサマじく、それ自体が話題になってたりするもの、各種レビューでの評価が半ば異常なほど高いもの、などなど。

「三人娘」以降の角川映画しかり、フジテレビ制作の諸作品しかり、です。

で、これらは一部例外はあるものの、総じてそれなりに楽しめるものでした。

“まぁ取り急ぎ、これだけ話題になってるだけのことはあるなぁ”という感じ。

どの作品も、ある程度のクオリティには到達していたように思います。

しかしながら特にここ数年、クドいようですが、ホントに裏切られる。

なんでこんなモノが好評なんだろう、とか、どうしてこれが好意的に捉えられるんだろう、とか、どういうわけでこの人らはこんな作品で泣けたりできるんだろうか、とか・・・そんなんばっかしです。

決して斜に構えて鑑賞に当たってるわけではありません。オレくらいシンプルかつストレートな心持で映画観に行ってるヤツはおらんと思います。それにはカッコたる自覚と自信があります。

批判ありきで鑑賞に当たるほどヒマでは無いし、そういうスノッブさをオレはむしろ憎みます。


勇気を持って、例を挙げちゃいます。

まず「踊る大捜査線3」。コレには参りました。

どこかのサイトで「いろいろと辻褄を合わせようとした結果、かえってワケワカラン状態になってしまってる」という評を読みましたが、それは言い換えれば、要するにもはや映画どころか、ドラマとしてのテイを為してない、ということでもあります。

でもって、オレもその意見にほぼ100%同意する次第です。そして、どうしてこんなシロモノが100万人だかを動員しちゃうのかがどうにもこうにも理解できませんでした。

あまりにも理解不能だったので、ああ、これはきっと「PART.3」だからこんなアリサマなのであって、きっと「1」はそれなりのものなんだろ
う、そうに違いない、ということで、映画館からの帰りしなに思わずTSUTAYAによってPART.1を借りてきまして、帰宅後すぐに観ました。

結果は一緒。「1」も「3」と同様、全てのエピソードが、なんの必然性もタメもなく唐突に起こり、そして終わる、という、もはやなんだかわけのわ
からんものでした。必然性もタメも無いので、どのギャグもひたすらスベり続け、全ての情動はただただ空虚なだけのものになってました。

思うに、人物設定などは既にTVドラマ版の方であらかた示されていて、それを承知してる人「だけ」がこの映画のターゲットなんだろう、と思います。でなきゃコレはダメすぎる。

続いて「花より男子F」。

・・・そもそもオレがこういう「トラウマ」的な淵に嵌ってしまったのは、思えばこの作品からだったような気がします。

もう何十回もここに書いてますが、オレはいいトシして嵐ファンであり、ファンクラブ会員No.28万番台だったりするので、まあ、ここはやはり観ておこう、と。

また、「東宝の超大作」には過去何度かお世話になってるので、そういう意味での期待もありました。

結果的にオレは、その「キャラ愛」にのみ支えられた、異空間に迷い込んだかのような独特の世界観に戸惑い且つ苦笑しながら鑑賞したわけですが、驚いたのは周囲の客がみんな泣いちゃってるんですよね。どころか大げさでなく「号泣」してる人なんかもいましてね。

「踊る・・・」と違ってそれなりに鑑賞に堪える作品ではあったのですが、どうしてこれで泣けるのか、しかも号泣できちゃうのかが不思議で仕方なかったです。

あまりに不思議だったので、思わず翌日もう一回1800円払って観に行ったんですが、やはりどうにもこうにも感情移入には至れませんでした。

さらに続いて「ディア・ドクター」。

これについては鑑賞直後、腹立ち紛れに思わずレビューを書き殴ったので、ぜひそちらを参照下さい。2009年09月23日の18:27に書いた・・・らしいです。

・・・要するに、どこまで行っても「ええカッコしい」なだけの作品に思えるのですが、なんだか知らないけど概ね好評なんですねこれが。

レビューにも書いたのですが、鶴瓶さん、余さん、香川さん、八千草さん、井川さんという錚々たるメンツが珠玉の名演を観せてくれてます。

しかし、それがこの作者の「思わせぶり」な「ごまかし」の為だけにしか機能していない。こんなもったいない話はないなぁ、と思いました。

・・・枚挙にイトマがありません。キリが無いんでもうやめます。

とにかくしつこいようですが「話題作」なるものに騙されまくりのここ数年ですので、恐らく「告白」も、「GANTZ」も、「大奥」も「20世紀少年」も「あしたのジョー」も「ヤマト」も観ないと思います。怖くて観られません。

今後オレは、こんなこともあろうかと買っておいた黒澤と小津のDVD-BOX内の諸作品を、もったいぶって少しづつ観つつ暮らそうと思います。

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