羅生門並にわかんないことが多い。

さてさて、いよいよ明日です。2007年10月11日。
世界ボクシング評議会(WBC)フライ級タイトルマッチ12回戦が東京・有明コロシアムで行われます。
王者・内藤大助(宮田)に対するは、亀田三兄弟の次男、亀田大毅(協栄)。
・・・とにもかくにもこれほど国内でのボクシング世界戦が盛り上がったのは、思うに畑山VS坂本以来なんじゃないでしょうか。


で、この試合予想ですが・・・これは難しい。
実力伯仲の故の難しさでは無く・・・今回はむしろその逆。ハッキリ言ってこれほど実績差のある2者の世界戦も珍しいです。
日本、東洋・太平洋の王者を下し、あのポンサクレックを下した内藤と、ジョー小泉の対戦者選択テクニックにより、格下相手に勝ちを重ねてきた亀田。
長男がやるならともかく、普通に考えたら亀田次男に勝ち目は無いです。あろう筈が無い。
ガメスvs横沢みたいな、いやヘタしたらそれ以下の試合になると思います。
そんなわけで、純粋な試合結果予想としては、ズバリ内藤のKO勝ち、悪くても3、4Rまでに倒すでしょう。
・・・こんなことはちょっとボクシングを見聞きした事のある人なら誰でもそう思う事で、予想としての面白みの無い、至極「当たり前」の事です。
勝てるわきゃ無いよ!というのが、ぶっちゃけ実際のところです。
しかし、今回の場合、ある意味、そんな次第「だからこそ」予想が難しい。
亀田の所属する協栄ジムは、先代の金平会長が海老原博幸とともに立ち上げ、その後具志堅、渡嘉敷といった世界王者を多く輩出する、大手且つ名門のジム。
モンキービジネスといわれるボクシング興行の世界で、永く大手且つ名門と言われ続けてる=誰よりもこの競技・業界・選手の事を知り尽くしたジムであるはず。
さらに、亀田三兄弟+オヤジetcは、TBSという地上波キー局の大いなるバックアップを受けている。
亀田らのキャラtecを採り上げた番組でもって、TBSはそれなりの数字(視聴率)を獲得している=亀田というネタによってこの局にも大いなる「経済効果」がもたらされている。
亀田というネタを(ここまで)有効活用しているメディアと、その亀田のマネジメントを受け持っている業界大手の協栄ジム。
この2者が後ろ盾にいる、亀田三兄弟。
国内ボクシング業界としては破格のビッグマネーが動いているこの図式の中、果たしてこのタイミングで、亀田家の大事な次男坊が内藤に見るも無残にボコられてしまうのが明白なこんな試合を組む理由がわかりません。
名門・協栄ジムのスタッフが、まさか次男坊に勝機があるなどと本気で考えているはずがないです。
大事なおアシのタネなのに、それが負ける=商品価値を失うのが明白なのに、どうしてこの試合をやるのか?
ここのとろころがホントに謎。
見るも無残にボコられるに決まってるのに、なんでわざわざ???
で、予想が難しいと言った理由もこの辺に根拠がありまして、すなわち、本来なら一方的な内藤の勝利に終わるはずのところ、なんらかの理由でそうならないんじゃないか、とも考えられちゃう、という次第です。
「なんらかの理由」って?
それはなんだかわかりません。
わかんないから難しい、とも言えます。
 


 
もうひとつ。
負ける=商品価値を失うのが明白、とさっき書きましたが、そうでなかったとしたらどうか。
・・・試合結果は両者の実績差(あえて「実力差」としないのは、次男の「実力」が良くも悪くも全く未知数、今までその実力を明白に推し量れるような試合をほとんど行ってないからです)通りに内藤が普通に勝っちゃったとして、もしかしたら次男坊には、ここでどんな負け方をしても、その商品価値の下落が最小限で抑えられる「仕掛け」がなされているのかもしれない、という事も考えられます。
例えば、試合直前に足首をヒネった、とか、実は先週くらいから発熱していたとか、試合中「不運なバッティング」で視界を遮られてしまったとか、“あそこでレフェリーの不手際がなければ・・・”みたいな話とか、そんな事柄がボコられて負けた後に出てくる、というね。
万一奇跡的に勝ったら儲けもので、負けたら負けたでどうにかしちゃえばいい、という感じで。
協栄にせよTBSにせよ、まぁ「不敗である」というステイタスは失われるにしても、要するに試合後に「みっともない状況・状態」にさえならなければその商品価値へのキズは最小限で済み、すなわち今後も「価値有るおアシのタネ」として亀田らを「運用」することができるわけです。
“今回はボロ負けしてしまったけど、ホントの実力はこんなもんじゃないんですよ”という説得力が付加できれば、この際結果そのものはどーでもいい、と。
ある程度目の肥えたボクシングファンには通用しないでしょうが、彼らは絶対数の少ないボクシングファンなどの評価など重視しない・優先順位としてはかなり低いと思うので、こういう事もやっちゃうでしょう。やれちゃうでしょう。
こういう可能性も無くは無い、と思ったりします。
でもなぁ・・・そんな「言い訳」も通用しないくらい一方的にボコられる可能性だって相当ある・・・どころか、当サイト管理人は、リング禍など起こらなきゃいいなぁ、くらいまで考えてます。
以前にも書きましたが、ボクシングというのは、つまるところは「殴り合い」です。
だからこそ、マッチメークは慎重に、両選手の実績・実力を充分に考慮した上で行われるべきだと思うんです。
内藤のような歴戦のツワモノの相手として、亀田の次男坊は、果たして人道的な見地から見て、相応しいのかどうか。
・・・相応しくないですよ、ええ。ハッキリ言って。
 
 
まぁそんなわけで、今回の内藤vs亀田次男坊戦、純粋な試合予測としては、内藤の4RまでのKOorTKO勝ちです。
次男坊は、距離を取ったとしても遠くから飛び込んでくる内藤のストレートを浴び、前に出れば出たでカウンターを上下に喰らい、足を使って廻って逃げるという慣れない事をやってもアッサリ廻りこまれ被弾、と、この試合、それはもう放送禁止レベルの悲惨な試合になる可能性があります。
ある新聞には、接近戦なら次男坊に勝機あり、とか有りましたが、内藤はポンサクレックと打ち合って、その多くがほぼ互角もしくはそれ以上だったんですからね。
また、その戦歴からもわかるように、内藤はこのクラス(フライ級)ではかなりのハードパンチャーの部類。
ヘタに接近戦なんか挑んだらよっぽど危険・・・ただ距離を取っても内藤の激しい出入りには対応できない、と、・・・やっぱりどう考えても次男坊に勝機はないかなぁ。
でもそんなことは協栄ジムのスタッフもわかってるはず。なのにじゃあなんでこんな試合を?
・・・ということで無限ループに陥る次第です。
なんだか、羅生門チックな、わけわからなさ、なんです。