プロはスゴい!という件。

先日カラオケ大会の場で歌手にスカウトされた話を書きましたが、ちょっと規模のデカいカラオケ大会などを覗きますと、まぁ上位入賞の方はそりゃもう上手いのです。そりゃもう上手い。上手いとしか言いようがない。そういう方がスカウトされてその気になっちゃうのも無理はない、と思えるものです。

実際こういう場からデビューされてる方も多い由。サギ話も多いとは思うものの、ここからのプロデビューってのも強ち荒唐無稽とばかりは言えないのであります。それゆえに#19で書いたような200万円オジサンみたいなのも横行するわけで、だからタチが悪いってことも言えましょうけども。

なにしろ上位入賞者の方は上手いのです。オレも15年くらい前まではときどき大会の収録を頼まれたりしてましたが、そこそこデカい大会だと各地の小さな大会の優勝常連みたいな方ばかりで、誰も彼も上手い。そんな中で上位入賞される10人くらいの方々はそりゃもう滅法上手い。実際大会荒らし的な方も多いようです。

でも……その時もそこそこデカい大会だったのですが、ひとしきり出場者の歌唱が終わって審査タイムになった時、その時はその大会の音響担当者の方のミニショー、ということになったのですね。

音響担当者といってもその方の本業は売れない歌手で、売れないがゆえに副業でスナックやったり音楽イベントの音響さんやったりして食ってるという方。予定よりかなり時間が空いたってことで、バック演奏なし、アカペラで数曲やらにゃならんってことになったのです。

そこで美空ひばり「悲しい酒」をフルで演られたのですが、これはスゴかった。それまで100人近い「上手い素人」の歌を聴かされてた会場ですが、みんな静まり返りましたよ。あまりの上手さに。

あちこちのカラオケスナックみたいな店でカラオケ大会みたいなものが行われ、そこで優勝の常連みたいなレベルの方が集まってその地区のカラオケ大会に出られ、またそこで優勝常連の方が集まってそこそこデカい大会に出られ、そこで優勝する方であっても、もはや相手に

ならないくらい上手い、ということです。

ああ、これがプロなんだな、と思いました。思わされたというべきか。

どんなに上手くても所詮素人は素人、プロと素人の間には決定的な、エゲツない差があるのですね。

後日、その大会主催者の方、この方はそこそこ知られてる作曲家先生なのですが、その方に聞いたのですが、○○くん(=このときの売れない歌手氏)は確かに上手いんだけど、いまひとつ聴衆を惹きつけるものがないんだよなぁプロとしては、とのことでした。

あれで「いまひとつ」なのか、じゃあその「売れてる」人ってのはいったいどれほどなんだろう、と。

あちこちのカラオケスナックみたいな店でカラオケ大会みたいなものが行われ、そこで優勝の常連みたいなレベルの方が集まってその地区のカラオケ大会に出られ、またそこで優勝常連の方が集まってそこそこデカい大会に出られ、そこで優勝する方でももはや勝負にならないくらい上手いレベルのプロが大勢集まって、その中で大衆を惹きつける、「売れる」レベルの巧者はほんのひとつまみ、というわけです。

とにもかくにも「歌い手」のプロの道は険しいのであります。

全然関係ないですが前述の売れない演歌歌手氏、ある打ち合わせで事務所件住居にお邪魔したのですが、普段が完璧なオネエ言葉でビビったものです。

打ち合わせ終わったらウチのお店で手料理ご馳走してあげるわね!と言われました。

美味かったです。